なぜ今、ベトナムが注目されているのか?
中国依存のリスクが高まる中、多くの企業がサプライチェーンの見直しを進めています。そこで浮上してきたのがベトナムです。以下のような背景が、ベトナムを代替調達先として選ばせる理由となっています。
- 政治的安定:社会主義国家でありながら、近年は市場経済を積極的に取り入れており、ビジネス環境が安定しています。
- 労働コストの安さ:中国やタイに比べて人件費が抑えられ、コスト競争力があります。
- FTAの多さ:日本・EUなどとの自由貿易協定が整備されており、関税面での優位性があります。
- 日本との親和性:日系企業が多数進出しており、現地でのビジネスがしやすい文化的・商習慣的な土壌が整っています。
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ベトナム製造業の特徴と主要産業
ベトナムはアジアでも有数の製造拠点として急速に成長しています。特に以下の業種に強みがあります:
- アパレル・縫製:国内外の大手ブランドが生産拠点を構える一大集積地。小ロット対応も増加中。
- 家具・木工製品:良質な木材と伝統的な職人技を活かした高品質な家具製造が盛ん。
- 雑貨・工芸品:竹製品、陶器、ラタン製品などの手工芸品が豊富で、付加価値の高い商品開発が可能。
- 電子部品・OEM生産:サムスンなどの工場が進出しており、電子関連の製造技術も向上中。
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仕入れに適した地域と産業集積の現状
ベトナムの製造業は地域ごとに特色があり、ターゲット商材によって最適な仕入れ先が異なります。
ホーチミン周辺(南部)
- 縫製・アパレル・革製品の集積が進む
- 工場が集まる工業団地が多数(例:タンフー、ビンズオンなど)
- 海上輸送にも強く、日本向けの物流網が整備
ハノイ周辺(北部)
- 電子部品、OEM製造などハイテク産業が中心
- 中国との陸路が近く、原材料の調達にも有利
フエ・ダナン周辺(中部)
- 工芸品・家具製造が盛んで、観光業とも連携しやすい
- 中部港湾が整備され、輸送ルートも多様化
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ベトナムからの輸入で押さえるべき実務ポイント
ベトナム輸入は比較的ハードルが低いとはいえ、スムーズに取引を進めるためには実務上の注意点も理解しておくことが重要です。
MOQ(最小発注数量)
近年では小ロット対応の工場も増えていますが、交渉が必要なケースもあります。希望ロットを明示しつつ、柔軟に交渉しましょう。
輸送・物流
基本は海上輸送(コンテナ便またはLCL:混載便)となりますが、アパレルなど軽量品は航空便も活用可能。現地のフォワーダーとの連携がカギです。
関税・FTAの活用
日越EPAにより多くの製品が関税ゼロで輸入可能です。原産地証明書(Form JV)を適切に取得することがポイントとなります。
支払い条件とリスク管理
初回は前払い(T/T)が多いですが、信頼関係を築けばL/C(信用状)や後払い条件も可能に。信頼できる仲介業者や現地法人の活用もリスク軽減につながります。
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中小企業でも始めやすい仕入れ戦略とは?
ベトナム輸入を実践するにあたり、特に中小企業や個人事業主に向けて、以下のような段階的な戦略が有効です。
- ターゲット商品の選定:アパレル、雑貨、家具など少量輸入に適したジャンルから開始
- 小ロット対応の工場や仲介業者を探す:AlibabaやGlobal Sources、ベトナム現地展示会を活用
- 現地視察またはオンライン商談:コストを抑えつつ現地情報を得る手段として現地法人の代行も検討
- 試作・テスト販売:小ロットでの仕入れ→ECサイト・SNSでの販売テスト
- スケーリング判断:売れ筋商品の把握後、定期仕入れやOEM化に展開
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まとめ|ベトナムは中小輸入事業者の味方
脱中国の流れが進む中、ベトナムはコスト、品質、地理的メリットを兼ね備えた有力な調達先として、多くのビジネスにチャンスを提供しています。とくに中小企業にとっては、小ロット対応や交渉の柔軟性といった利点も大きく、はじめての海外仕入れにも適した国です。
まずは小さく始めてみることが、ベトナムとの良好な取引の第一歩です。現地の事情に理解を深め、確実な情報と信頼できるパートナーを得ることで、あなたのビジネスにも大きな成長が期待できます。
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