船荷証券とはなにか。Bill of Lading (B/L)

trading-1227-1

船荷証券(以下、B/L)は、船会社が輸出者から受け取った貨物と引き換えに発行する有価証券です。船便または航空便の輸入では、輸入者がB/Lのやり取りをする必要がありますので、流れを理解する必要があります。なお、DHLやEMS、FedexなどのDoor to Doorのサービスを利用する場合は、輸入者側でB/Lを取り扱う必要がないので、本稿は読み飛ばしてください。

※この記事は2016年が初出でしたが、2025年に内容を見直し、最新の貿易実務の傾向に基づいて解説を追記しました。

輸入貨物を受け取るための重要な書類

貿易で使う書類で最も重要と言える書類が、船荷証券(ふなにしょうけん)です。英語でBill of Lading、略して「B/L」と表記されます。あえて小難しい言葉を使わず言うと、船荷証券とは「輸入した商品を受け取るための引換券」のようなもの。船会社がこれを発行し、輸出者が輸入者に渡します。そして、そのB/Lを受け取った輸入者が、輸入港で、これと引き換えに貨物を受け取ります。つまりB/Lがないと輸入者は貨物を受け取ることができません。

このB/L(Bill of Lading)は、単に貨物の引換券というだけでなく、貨物の所有権を証明する法的な効力も持っています。そのため、B/Lをめぐるトラブルを防ぐためにも、その役割を正確に理解することが重要です。

船荷証券の流れ

輸出者がB/Lの原本を輸入者に送り、それを受け取った輸入者は、輸入港で通関業者などにB/Lを渡して貨物を受け取ります。

  • 船会社にとって見れば、「貨物を輸出者から預かった証明」。
  • 輸出者の工場から見れば、「貨物を船積みした証明」。
  • 輸入者から見れば、「貨物を受け取るための引換券」

という役割を担っていると表現してもいいかもしれませんね。

trading-1227-2-illust

通常の貿易取引では、生産前に頭金を支払い、船積み直前に残りの決済を行うことが多く、弊社と取引のある工場では、「船積み前に残額の決済をし、入金確認がとれるまで(着金するまで)の数日間に船積み、着金してからこちらにB/Lを送る」というパターンが多いです。輸入者はB/Lがないと貨物を受け取れないので、実際の入金確認がとれてからB/Lを送るという、工場にとってみればリスクヘッジの「質札」のような扱いをされていることもあります。

B/Lのサンプル

クリックで拡大できます

trading-1227-3-bill-of-lading-document-sample

船会社によって書式は様々ですが、弊社の輸入事業で受け取ったB/Lのコピーです。船会社名・荷送人・受取人・船名・仕向地などの基本的な情報が書かれていて、その他、カートンに表示されているShipping Mark(段ボールに印刷された輸入者の会社名ロゴなどがこれに当たります)やカートン数・カートンサイズ・重さなど、貨物を識別するための情報も書かれていることが分かります。

また、送料を荷送人が払うのか受取人が払うのかという記載もあり、荷送人払いの場合は「Freight Prepaid」、受取人払いの場合は、「Freight Collect」と記載されます。つまり、原則として、貿易条件がFOBの時は「Freight Collect」、CIFやC&Fの際は「Freight Prepaid」が使われることになります。

(参考:輸入の製品価格に使うFOBやCIFとはなにか

B/Lに関する実務の現状

trading-1227-3

基本的にはB/Lのやり取りには「原本」が必要です。しかしながら、近年では、船便でも輸送日数が短くなってきており、工場からB/Lが郵送で届く前に、貨物が先に到着してしまうというケースが多く発生します。この場合、B/Lが届くまで、輸入者は貨物を受け取ることができず、輸入港の保税区で商品を寝かせておくことになります。

こういったことから、現状の実務では、「Surrendered B/L」というものが活用されており、これを利用することで受け取りまでの日数を短縮することができます。これは、輸入者の受け取りの際、B/Lの原本ではなく、メールやFAXで送られたB/Lのコピーを使用するというものです。詳細は次回の記事で解説しています。

更新: Telex Release、Surrendered B/Lとは

コメント

タイトルとURLをコピーしました