コマーシャルインボイスとプロフォーマインボイスの違い

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※初出2015年の本記事の内容に、一部不正確な記述があったため、2025年にファクトチェックとリライトを行いました。

インボイス(Invoice)とは、輸出輸入申告の際に、税額の計算の根拠となる書類のことです。輸出入の当事者同士においては納品書のような役割も担っています。輸出者に作成が義務付けられており、製品価格・数量・受け渡し条件によっては運賃などが記載されています。しかしながら、貿易取引においては、同じインボイスでも、コマーシャルインボイス(Commercial Invoice)とプロフォーマインボイス(Proforma Invoice)があり、貿易に慣れていない方はこの2種類で混乱してしまうようです。

コマーシャルインボイスとは

コマーシャルインボイスは、製造工場側が製品を出荷する際に作成する通関用の書類のひとつです。輸出入者名、船名、製品価額、支払い条件などが記載されます。貿易事業で一般的にインボイスと呼ばれているのは、こちらのコマーシャルインボイスのことです。

コマーシャルインボイス

税関はこれらの書類により、貨物の中身を把握し、税関検査の要否、関税、地方消費税額の算出を行います。コマーシャルインボイスの記載内容に、事実と異なる内容があると、通関手続きが保留になり、貨物の引き取りに遅れが出たり、最悪のケースだと輸出者側に返送されることもあります。

通常は、実際の出荷前に輸出者側からコマーシャルインボイスのコピーが、メールまたはFAXなどで輸入者側に送られます。しかし、アジア経由の輸入の場合、輸出者がこれらの書類をいい加減に作成している場合もよくあります。輸入者は内容を確認して、内容にミスがないか確認し、もし出荷後にそれが発覚した場合は、通関用の追加書類を作成しておくようにしましょう。これについてはまた後日記事を書きます。

たとえば、インボイスに記載された価格が実際の取引価格よりも高く記載されていた場合、税関ではその価格を元に関税や消費税を計算するため、不当に高い税額を支払うことになってしまうおそれがあります。逆に価格が低く記載されていた場合は、税関から過少申告とみなされ、追徴課税やペナルティが課される可能性があります。また、通貨単位の記載ミス(たとえば USD を JPY と誤記)があると、換算ミスによる納税額の誤差や通関トラブルの原因となるため、インボイスの通貨記号単価の整合性についても十分なチェックが必要です。

プロフォーマインボイスとは

同じインボイスでも、プロフォーマインボイス(Proforma Invoice)というものがあります。これは、国内のBtoB取引でいう見積書と同じものです。「Offer Sheet」「Quotation」などと表記されることもありますが、これは取引相手との価格交渉の際、輸出者から輸入者に提示されるビジネス書類です。

商用貨物の通関においては、原則としてこのプロフォーマインボイスは正式な通関書類としては使用されませんが、サンプル品や贈答品など非商用の取引においては、プロフォーマインボイスが使用される場合があります。また、コマーシャルインボイスの内容に誤りがあった場合には、補助資料として税関に提出されることもあるため、書類自体はきちんと保管しておくことが重要です。

プロフォーマインボイス

EMSやDHLで海外に荷物をおくる際に「インボイスを添付してください」と求められるのは、基本的に商用貨物におけるコマーシャルインボイスのことを指します。ただし、国際クーリエサービスによる非商用貨物(例:サンプルや個人間贈答品など)では、プロフォーマインボイスの提出を求められることがありますので、用途に応じた適切な書類を選択する必要があります。

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