LCL貨物とはなにか。混載便の利点と問題点

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貿易の際は、コンテナを使って輸送するのが一般的です。しかしながら小口輸入では、最小でも20フィートあるコンテナには貨物の量が少なすぎるのです。この場合、他社の小口貨物とともに同じコンテナに詰め込んで輸送する方法があり、これをLCLといいます。今回はこのLCL貨物による輸送の利点と問題点をまとめました。

※初出2015年の本記事の内容に、2025年に追記・修正を行いました。

コンテナひとつに満たない貨物の輸送方法

輸入のメリットは、コンテナ単位で輸入ができるようになってから感じるものだという印象がありますが、同じ工場からコンテナいっぱいの商品を買い付けるのは、そこそこの事業規模がないと難しいですよね。特に、当社で言うとヘアアイロンを2000台輸入したとしても、せいぜい輸入パレット2山程度なので、最小でも20フィートあるコンテナの容積にはとうてい及びません。

一般的なドライコンテナの種類とサイズ

  20フィート 40フィート 背高コンテナ
高さ 約2.6m 約2.6m 約2.9m
約2.4m 約2.4m 約2.4m
長さ 約6.1m 約12.2m 約12.2m

LCL貨物なら、他社の小口貨物とコンテナを共有できる

そこで、同じ船を利用する他の輸入者の貨物とコンテナを共有して輸送する方法がLCL貨物(Less than Container Load)です。

LCL貨物は、船会社が管理するCFS(コンテナフレイトステーション):Container Freight Stationという場所にいったん運ばれて、コンテナに詰め込まれます。その後本船に積み込まれます。

反対に、コンテナいっぱいに貨物がある場合は、FCL貨物と呼ばれ、CFSを経由することなくコンテナヤードに運び込まれ、本船に積み込まれます。

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LCL貨物の利点

LCL貨物の利点は、少量の貨物でも、他社とコンテナを共有することで、船便などの輸送手段を利用できるということです。自社でコンテナをレンタルまたは購入して用意する必要がなく、比較的低額で利用できます。

LCL貨物の問題点

コンテナヤードでの滞在時間が長い

FCL貨物の場合は、コンテナがコンテナヤードに運び込まれてからすぐに輸出入の申告がなされ、許可が下りればそのままトラックで自社倉庫まで搬送が可能なのですが、LCL貨物の場合は、コンテナに詰めたり出して振り分けたりといった作業が必要となるため、その分コンテナヤードでの滞在時間が長くなり、その結果、商品引取りまでの期間が長くなります。また、他の荷主との貨物が同一コンテナに混載されているため、税関による確認や通関の進捗に影響を受けることもあり、リードタイムの読みづらさが課題となります。

角潰れや汚損のリスクが高くなる

上記の通り、一連の手続きで貨物を詰めたり出したりといった過程が増えるので、それだけ貨物を汚損するリスクが増えます。貨物の移動の際にカートンを落として角が潰れる可能性もありますし、貨物の移動にはフォークリフトを使うので、フォークリフトの先端がダンボールを突き刺すなどといった、事故として表面化しない程度の破損も増えます。実際、当社の小口輸入で、フォークリフトの先端によると思われる破損は頻繁に起こっています。また、作業員が当社の荷物を踏み台にして登ったとみられる作業靴の跡が残っていたということもありましたが、商品に大事ない程度だったとはいえ、あまり気分のいいものではありませんよね。破損リスクを軽減するには、カートンの強化、荷札の明示、荷扱い指示シールの貼付などが有効です。

潮濡れリスクが発生することもある

これは当社と取引のあるフォワーダの方に聞いた話ですが、LCL貨物として取り扱われているにもかかわらず、何らかの理由でCFSでの積み付けが不十分だった場合や、船会社の管理がずさんなケースでは、小口貨物の一部がコンテナに積載されず、船上でバラ積みされてしまうことがあるそうです。このような不適切な取り扱いは本来避けられるべきであり、非常にまれなケースとはいえ、実際に発生する可能性がゼロではありません。この場合、デッキ上などの空きスペースに貨物が配置され、天候が荒れた場合には海水や雨にさらされ、外装が濡れてしまうというリスクが発生します。さらに、船が荒天時にバランスを取る必要がある場合や緊急時の対応として、こういったデッキ上の貨物が優先的に投棄される可能性もあるとのことです。

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