ベトナムの経済特区や、現地買付に向いている地域は?

ベトナムでの仕入れや製造を検討している事業者にとって、経済特区や工業団地といった地域特性を理解することは非常に重要です。本記事では、中国における深センや義烏市のような位置づけをベトナムに当てはめながら、現地に工場が集まる地域や現地買付に向いている市場の情報を詳しくご紹介します。また、ネット仕入れだけでは手に入らない現地特有の商品を見つけるヒントとして、実際に足を運ぶ意義についても掘り下げていきます。

経済特区とは?

経済特区(Special Economic Zone:SEZ)とは、外国からの投資を促進するために、特別な税制優遇や規制緩和が設けられた地域を指します。中国では深セン市がその代表例で、経済の急成長を牽引してきました。

ベトナムでも同様の目的で経済特区や工業団地が整備されており、外資系企業を誘致して製造業のハブとして機能しています。輸出向け製品の生産地として注目されることも多く、日本企業の進出も盛んです。

ベトナムの経済特区

ベトナム政府は「経済特区(SEZ)」という名称ではなく、「経済区(Economic Zones)」または「輸出加工区(Export Processing Zones)」「工業団地(Industrial Parks)」として分類しています。以下は代表的な経済特区的地域です。

北部:クアンニン省・バクニン省・ハイフォン市

  • クアンニン省には「バンドン経済区」があり、観光・物流・高付加価値製造業を中心とした開発が進んでいます。
  • ハイフォン市のディンブー工業団地やDEEP C工業団地は、港湾と近接しており、サムスンやLGなどの大企業が進出しています。
  • バクニン省は、サムスンの大規模工場があることで有名で、電子部品製造業の集積地です。

中部:ダナン市・クアンナム省

  • ダナンハイテクパークは、IT産業や高度技術製造業を誘致することを目的とした地域です。
  • チューライ経済区(Chu Lai EZ)は、自動車製造などの産業が集積しており、韓国や日本企業の進出が見られます。

南部:ホーチミン市・ビンズオン省・ドンナイ省・ロンアン省

  • ホーチミン市周辺には、サイゴンハイテクパークやタンタオ工業団地などがあり、電子機器・医療機器など多様な分野の企業が進出しています。
  • ビンズオン省は、首都圏に近く、家具・縫製・プラスチックなどの中小工場が集中。
  • ドンナイ省のアマタ工業団地などは、日本企業の製造拠点として人気です。
  • ロンアン省は、最近注目されている新興工業地域で、地価が比較的安価で投資先として有望です。

ベトナムで工場が集中している地域

前述の経済特区と重複しますが、特に工場が集中しているのは以下の3地域です。

地域 主な工業団地 主な業種
北部(ハノイ〜ハイフォン) DEEP C工業団地、ディンブー工業団地 電子部品、自動車、金属加工
中部(ダナン・クアンナム) チューライ経済区、ダナンハイテクパーク 自動車部品、IT関連、機械加工
南部(ホーチミン〜ビンズオン) アマタ工業団地、サイゴンハイテクパーク アパレル、家具、電子機器

ベトナムで現地買付をしたいなら

ベトナムには、中国の義烏や広州のような規模の市場は少ないですが、以下の場所が現地買付の拠点として活用されています。

  • ホーチミンのビンタイ市場(Binh Tay Market):日用品や衣料品の卸売市場として知られる。
  • アンドン市場(An Dong Market):アパレル・装飾品・小物などに強い。
  • ハノイのドンスアン市場(Dong Xuan Market):北部で最大の卸売市場。

ネット完結型の仕入れも主流になっていますが、今やLCC(格安航空会社)も普及していてアクセスもしやすくなりましたし、現地に足を運ぶことで、独自性のある商品を発掘できる可能性が高まります。また、商習慣や現地の価格感覚も体感できるため、中長期的に大きな差別化に繋がることもあります。なにより「ネットで手に入らない商品」と出会うことができるのは、他店との差別化の観点で大きなメリットです。

まとめ:差別化の第一歩は「現地を知ること」から

ネット仕入れは効率的ですが、他社との違いを生み出すには現地での情報収集・仕入れが重要です。ベトナムには中国のような一大マーケットは存在しないものの、各地域に工業団地や市場があり、商材とのマッチング次第では大きなチャンスがあります。ぜひ一度、現地の空気を感じ、ビジネスのヒントを探してみてはいかがでしょうか。

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