Telex ReleaseとSurrendered B/Lの違いと活用法

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前回記事で、輸入貨物を受け取る際に、B/Lの原本が届かず、貨物が迅速に受け取れないケースがあるということを説明しましたが、これを回避するためにSurrendered B/Lというものを活用します。古い言葉ですが、このような取引方法はTelex Releaseと呼ばれ、複写されたB/Lを使って貨物の受取りをすることができるというものです。

※この記事は2016年初出ですが、2025年に内容を見直し、一部最新の実務動向に基づく解説を追記しました。

Surrendered B/Lの概要とメリット

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貨物を港で受け取るためには、輸出者から受け取ったB/Lの「原本」を提示する必要があります。しかしながら、紙切れ一枚とはいえ、海を越えてそれを運ぶ以上、日本側で受け取るまでにかなりの日数を要してしまいます。近年では、船便であっても到着までの日数が短縮されてきているので、B/L原本より商品が先に港に届いてしまうケースも多く発生します。
このようなことを防ぐために、Surrendered B/Lというものを使います。もっとも、Surrendered B/Lという書類があるというわけではなく、「B/L原本が現地で回収されました」というスタンプが押されただけの複写されたB/Lということです。輸入者向けのブログですので、輸出地側の細かい手順は省きますが、輸出者は輸入者に対して「スキャンした『Surrendered』または『Telex Release』のスタンプが押されたB/Lのコピーを電子メールで送る」「FAXで送る」などといった手段で、それを送ります。受け取りに必要なB/Lの原本は、そのまま本船に積み込まれますが、輸入者は、そのB/Lのコピーを提示するだけで貨物が受け取れるようになります。

つまり、Surrendered B/Lとは、輸出者がB/Lの原本を船会社に返却し、貨物の所有権を放棄することで、輸入者が原本なしで貨物を受け取れるようにする手続きです。

B/Lを受け取るまでの時間を短縮できる

説明するまでもありませんが、B/Lそのものを郵送で送るより、メールやFaxで済むので受け渡しは一瞬で完了します。あとは、輸入港に貨物が到着するのを待つだけです。この方法により、書類の郵送時間やコストを削減し、貨物の迅速な受け取りが可能になります。

B/Lを受け取るためのコストを削減できる

書類一枚とは言え、郵送でも比較的大きなコストを要します。メールやFAXで済むのならそれに越したことはありません。

※一部の国や運送会社では、Surrendered B/Lに対応していない場合もあるため、事前に取引先と合意しておくことが重要です。

Telex ReleaseとSurrendered B/Lは違うものなのか

Telex Releaseという言葉が使われることがあります。昔、まだ通信手段が発達していなかった頃、貿易のやり取りにテレックスが使用されていた名残と言われていますが、Telex ReleaseとSurrendered B/Lはほぼ同じ意味で使われています。イメージとしては、Telex release は、B/L原本無しで受け渡しする手段そのものを指すのに対し、Surrendered B/Lは、複写されたB/Lのことを指すという理解で良いのではないでしょうか。

※実務現場では、取引相手や運送会社によって用語の使い分けがあるため、混乱を避けるためにも事前の確認が推奨されます。

Telex Releaseの仕組み(2025年追記)

Telex Releaseは、輸出者がB/Lの原本を船会社に返却した後、船会社が目的港の代理店に電子的な通知(かつてはテレックス、現在は通常Eメール)を送信し、輸入者が原本なしで貨物を受け取れるようにする手続きです。

この方法も、書類のやり取りを省略し、貨物の迅速な受け取りを可能にします。

Surrendered B/LとTelex Releaseの違い

Surrendered B/Lは、B/Lの原本に「SURRENDERED」スタンプが押され、輸出者が所有権を放棄したことを示します。

対して、Telex Releaseは、船会社が目的港の代理店に対して、貨物を原本なしで引き渡すよう指示する電子的な通知です。

実務上、両者は同様の目的で使用されることが多く、用語が混同されることもあります。

Telex Releaseで送って欲しいと先方に伝えるには

輸出者によっては「Telex Release」という言葉で通じないこともありますが、「Could you send us surrendered B/L not the original B/L?」「Surrendered B/L would be appreciated.」などの文章で通じるはずです。当社と取引のある工場では、何も言わなくてもSurendered B/Lがメールで送られてきますが、中にはこちらから特に指定しないとオリジナルを郵送してくる場合があるので注意が必要です。

ただし、このSurrendered B/Lは、原則として信用状(Letter of Credit)取引の際に使用することはできません。L/C取引では、原本のB/Lが必要とされるため、Surrendered B/Lは適していません。

実務上の注意点

もしあなたが輸出者であったとしたら、Surrendered B/LやTelex Releaseを使用する際は、輸出者が代金を受け取ったことを確認した後に手続きを行うことが重要です。

代金未回収のままB/Lを放棄すると、輸出者が代金を回収できないリスクがあります。

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