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貿易で使う輸送方法を3種類説明してみた

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商品を輸入するときに輸送方法はどうすればよいのか、どれくらいのお金がかかるのか、代表的な輸送方法を3種類説明しました。結局、どの輸送方法がどれくらいコストがかかるのかを予測し、納期も含めて最善の方法を選ぶことになります。事前にどのような方法があるのか知っておけば、見積もりも取りやすいし、生産前の仕切値の決定もしやすくなります。

photo credit: N797AX via photopin (license)

目次

代表的な輸送方法3つと長所短所

輸送方法 大口のコスト 小口のコスト 所要日数(目安) 手続き
国際クーリエサービス 高い 安い 早い(3日-10日) 簡単(Door to Door)
船便(Seaway) 安い 高い 遅い(10日-20日) 煩雑
航空便(Airway) 安い 高い 早い(3日-10日) 煩雑

 

国際クーリエサービス

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photo credit: The FedEx Van via photopin (license)

小口の輸入に最適なのが、DHLなどに代表される国際クーリエサービス(International Courier Service)です。国際クーリエサービスとは、海外の出荷元から国内の受取先まで、集荷+輸送+通関+配送まで、一貫して受け持つ、「複合一貫輸送」と呼ばれる民間の輸送サービスです。Door to Door(ドアトゥードア)とも呼ばれます。宅配便の国際バージョンといったところですね。

上の画像のFedexや、一番上の画像にある、黄色のベースカラーが印象的なDHLが有名です。他にも、通常の国際クーリエサービスと性質は異なりますが、日本郵便が提供している国際郵便の一種であるEMSがあります。EMSは特に梱包の数が少ない小口輸入の場合のコストが安いのが特徴です。それぞれに長所短所がありますので、初めて輸入をされる方は、

  • EMS:小さいものの輸送は特に価格が安いが、総合的に輸送に時間がかかる場合がある(4日-10日)
  • DHL:到着が早く(2日-5日)輸送品質に定評があるが、小さいものを送る際などは特に割高となる

上記2つの事業者を覚えておけば間違いありません。ただし、海外の生産工場や販売者によっては、それぞれ提携している国際クーリエサービス事業者が異なるため、場合によってはEMSよりDHLの方が安くなることもあります。また、提携していない国際クーリエサービスだと利用を断られる場合もありますので、その場合は相手の生産工場に合わせる必要があります。

国際クーリエサービスの利点としては、先述したように集荷から宅配まで一貫して担当するので、面倒な通関手続きや受取に出向いたりする必要がなく、まったく手間がかからないということです。また、小口輸入の場合は一番コストのかからない方法となります。具体的例としては、平均的な重さの荷物で、三辺計160cm程度のカートン数個程度であれば、船便や航空便に比べて安いです。ただし、重さや工場などによってケースバイケースなどで、具体的に工場・販売者から見積もりをとったほうがいいと思われます。

欠点としては、重いものや大口の輸入の場合、他の輸送方法に比べてコストが高くなります。また、生産工場や販売者によって見積額が異なるため、相手先に「送料をぼったくられる」おそれもあります。工場や販売者によっては、売った商品だけではなく、送料で利益を取っているところもありますのでご注意ください。

 

船便(Seaway)

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photo credit: Hyundai Commodore at Keelung via photopin (license)

文字どおり、貨物を船で運ぶことです。長所はとにかくコストが安く、大口輸入の場合は非常に経済的に輸送ができることです。短所としては、輸送に時間がかかるということですが、今は昔に比べて輸送が早くなってきています。以前、中国の寧波(Ningbo)から名古屋港に船便で送った時は、6日くらいで名古屋港に到着してびっくりしたことがあります。船をブッキングしたタイミングや、経由港の数などによってケースバイケースですので、所要日数は10日〜20日程度という認識で良いと思います。

また、国際クーリエサービスとは違って、通関手続きや受取の手間があり、また通関業者や陸上輸送の業者を挟む場合は、その手数料が必要となるため、特に小口で輸入をする場合は余計に割高になってしまうことがあります。

船舶の輸送費については、日本で船会社をブッキングするよりも、生産国の担当者にその国内でブッキングを依頼したほうが、かなりの確率で安くなります。貨物の量によっては日本円で一万円を下回ることもあります。ただし、日本側の港に着荷したときに、フォワーダーと呼ばれる事業者に手数料などを支払う必要がありますので、その費用がかかることを忘れてはいけません。たとえ小口の貨物でも、約3万円以上の費用がかかります。またこれは、通関を自分で行う場合でも必要になりますし、通関手続きをフォワーダーに依頼する場合はさらに通関手数料もかかります。それらを全て含めた場合でも、大口輸入の場合は国際クーリエサービスよりも安上がりになります。

 

航空便(Airway)

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photo credit: That's my bird to Bangkok! via photopin (license)

飛行機で貨物を運ぶ輸送手段です。必要な手続き的には船便とまったく変わりません。船便との違いは、輸送の所要日数が国際クーリエサービス並に早いということ。また船便よりは輸送費が高くなります。国際クーリエサービスで大口貨物を送るよりは安く送れます。

多少コストがかかってもいいから、早急に送ってほしいときなど、どちらかというと使用する場面は限られていると思います。

 

貨物の量と必要日数に応じて最適な輸送手段を選択する

どの輸送手段も一長一短で、その輸入内容によって最適なものも異なります。ネットを使った海外買い付けであれば、出荷する商品の数も少ないと思われますので、通常はEMSやDHLを使うのが最適でしょう。通関に必要な書類も必要ない(例外有り)ので、初心者の方にも最適です。

OEM生産など1回の輸送量が多い場合、例えば箱物の商品1000個以上を送る場合などは、容積もかさばるし、重量もありますので、国際クーリエサービスだと割高になります。この場合は船便の方が、手数料のことを加味しても安くなるので、こちらが最適と言えます。

商品を製造、または買い付けをする前に、工場や販売者に送料の見積もりをとっておき、あとは日本側のフォワーダーに対する手数料(Seaway,/Airwayの場合)などを考慮に入れて、最適な輸送方法を選んでください。

 

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